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先進国の未来は絶望か希望か - ICTの発展で変わる社会環境

By | 火曜日, 3月 26, 2013 Leave a Comment

2008年の東京大学 学術俯瞰講義「経済・社会のグローバル化と日本」に強く影響されて、これをベースにグローバリゼーションについて勉強してきました。

この頃からハッキリと感じてるのは、グローバリゼーションの第三フェーズにおいて、先進国だから豊かなのが当たり前という状況は崩れつつあるということです。

前述の講義と過去に勉強した分とその後勉強した分を合わせて、事業方針に影響しそうなポイントをちょうど1年前に「グローバリゼーションの進展による環境変化」としてFacebookにまとめました。ここでは、さらにその後勉強した分を含めて、特にICTが関わる重要なポイントをまとめています。

熟練労働者への需要のシフト


Skill Biased Technical Change(スキル偏向型技術変化)、つまりITなど利用者のスキルにより生産性に偏りが生じる技術の進歩により、熟練労働者と非熟練労働者の生産性格差が年々大きく拡大し、需要のシフトが起きています。

ITとロボットが人の仕事を奪う


一方で非熟練労働者の仕事を中心として、例えばフォックスコンがロボットを100万台導入するなど、ITとロボットが人の仕事を奪うケースが増えています。ITとロボットで自動化できる範囲が増え、そのコストも下がっているため、それができる仕事においては雇用の縮小は避けられません。


グローバリゼーションの影響範囲の拡大


これまで世界的な生産性競争から距離を置いてきた分野においても、競争がよりオープンになり、高レベルの生産性向上・質的向上が要求されていきます。

The World Is Flat - ICTの発展が賃金格差を埋めていく


さらなるグローバリゼーションの進展により、国家間の障壁は取り除かれ、労働者の所得は世界的にフラットな状態(同一労働同一賃金)へと近づいていきます。

また、単に途上国が発展して賃金が上がってきたというだけでなく、クラウドを中心としたICTの発展により、「10人でビデオ会議をしながら同じドキュメントを編集する」といったチーム作業が相手がどの国にいようができるようになりました。こうなると、同じチームで同じ仕事なのに先進国は賃金が高くて途上国は低いというのは無理がでてきます。

そのため、途上国の平均所得レベルが上がる一方で、先進国の平均所得レベルは今後一定のレベルまで低下します。



無料の教育コンテンツで途上国でも熟練労働者が育つ


特に途上国では、経済的に恵まれていて良い大学に入らなければ良い仕事には就けなかったのが、現在ではiTunes Uでハーバード、ケンブリッジ、MIT、東京大学などの優れた無料の教育コンテンツを利用できるようになったことで、途上国でも高スキルを求められる仕事に就ける人材が増えていくと考えられます。

グローバリゼーションは第三ステージに。今までになかった環境変化が起きている。


グローバリゼーションの第三ステージと呼べる時代に入ったことで、これまでになかった環境変化と課題が次々に生まれています。国や企業だけでなく、一個人のレベルにおいても新しい課題が生まれ、対応が求められています。





グローバリゼーションは悪という考えでは対処できない


自分がこの辺りの話をする機会には、「グローバリゼーションの恩恵を実感したことがある方は?」と必ず参加者の皆様に聞きますが、ここで手を挙げる人はほとんどいません。しかし、本当はすべての日本国民がグローバリゼーションの恩恵により、ここまで豊かな生活をしてきたのです。

先進国の人が時給900円でやる仕事を、途上国の人が同じ品質でやったとしても時給は30〜50円だったりします。我々はその差を活用して多くのベネフィットを獲得してきました。すべての先進国民は、意識したことがないだけで例外なく、途上国からの搾取と呼べる仕組みによって豊かな生活をおくってきたのです。途上国もそれにより発展して豊かになってきたのでそれが悪いとは思いませんが、問題は前述した変化によりそのモデルが崩れつつあるという点です。

グローバリゼーションは、日本がやっと戦国時代に入った頃から続く世界全体の流れです。グローバリゼーションをどうやってより良い形にしていくかということはできても、そもそも意志を持って止めるという選択肢はありえません。

意識したことがないだけでグローバリゼーションの恩恵を散々受けてきた人々が、今になって、世界が平準化され不利益を被る立場に立ったことでグローバリゼーションを悪と捉えてこの時代に対処しようとするのは無理があります。必要とされるのは、その中で自分たちがやるべきことを明確にして適応していくことです。







先進国だから豊かなのが当たり前という概念を捨てて、事前に予測して未来を設計する


少なくとも過去100年でいえば最も大きな変化であろう、先進国だから豊かという前提が崩れつつあるグローバリゼーションの第三フェーズにおいて、社会の仕組みや働き方、自らの価値観や生活がどう変わり得るのか、変えるべきなのか。これと向き合い、未来を設計するのが重要な課題です。

先進国だから豊かという前提が崩れていく中で、先進国でこれまでと同じもしくはそれ以上の経済的豊かさを得られる人々はかなりの少数派になるだろうと思います。

その現実を見ないようにして何もせず今までどおり生活するのは、ポジティブ思考ではなく現実逃避です。ある側面から見て悲観的な未来の可能性が高いならそれを覚悟して、それでもその時に充実した生き方ができるように予め設計して構築しておくのが本当のポジティブ思考です。

悲観的な未来なんか来ないと何もしなかったら、いざその時には絶望しかせず、希望のある未来は現状を把握して、これから起きることを事前に予測して、自ら望む形を少しでもつくっていかなければならないと思うのです。

関連書籍


昨年発売された「ワーク・シフト」では、グローバリゼーションのさらなる進展により起きる変化をより実生活に近い視点で書いてあり、参考になる点も多いです。興味のある方は是非。


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